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内田百閒
内田百間 『冥途』
- 2009-03-31 (火)
- 本
2008年の暮れくらいにAmazonで購入して、それからちまちまと読んでいる本です。主に休日にコインランドリーで読んでいます。ごうごうと鈍く鳴る乾燥機とぬるい空気がチルアウトを誘っていい感じです 笑
作者の正式なペンネームおよび略歴はwikipediaにも詳しく紹介されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E7%99%BE%E9%96%93
僕がこの人を知ったのは、月並みですが映画「ツィゴイネルワイゼン」を観たことがきっかけでした。
まずこの映画に度肝を抜かれ、そこから文庫版の「サラサーテの盤」を近所の古本屋で発見し、ついに新品でこの挿絵入りの怪しげな本を手に取るまでに至りました。
正体不明のキャラクターや不条理な展開も魅力なんですが、とりわけ作者の空間記述が最高にぶっ飛んでいます。
ちょっと抜粋。一話めの「花火」より。
私はその灯を見ながら、女について行ったら、浅い砂川のほとりに出た。女がそのほとりを足早に伝っていった。しばらく行くうちに、砂川はじき消えてしまって、長い廊下の入口に出た。女がそこに、私を案内して這入った。
つるっと読めてしまうんだけど、この状況は明らかにおかしい。アウトドアとインドアの境目がない。
だけど文章の中では何の矛盾もなく成立してしまう。
内田百間(正式には門の中に月で『けん』と読む)の作品の中にはこういう記述が満載で、それらが作品の異常な空気感を形成する、文字通り「背景」になっています。
こういった表現は文章においてだけ本領を発揮するものじゃなくて、たぶん映像やウェブに置き換えてもかなりクールな表現になり得るんじゃないかと思います。水辺にいきなり板張りの長い廊下が現れる画は、めちゃくちゃかっこいい。
物語それ自体も面白いんですが、その中にいろいろな発想のヒントが溢れているスルメ作品です。
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